
#3 便利ゆえの負
Morcastのこの読み物はライブハウスの視点ではなくマネージメントサイドの視点で書くのでウザいとも思うが「集客向上」を真剣に考えるアーティストには届くと良いなぁ。
------------------------------------
もう25年くらい付き合いのある俳優の友人がいる。まぁ友人といっても人生の先輩なのではあるが、彼を初めて見たのはTVのゴールデンタイム。数年はTVに中の人で後に友人となるとは思ってもいなかったが、還暦になった彼はミュージシャンでもないのではあるが仮面ライダーでヒロインのパパ役だったり、有名女優のフラれる恋人役だったり、NHKの人気番組のちょいコーナーの主役だったり、素人視点でも「知ってる番組にちょい役で出てる俳優」として日々頑張っている。
でも正直なところ、それじゃ食えないから副業でキャスティングコーディネーターなんぞやってるので本当に彼は多忙。
週一でライブやってるアマチュアアーティストより彼は多忙。
それは彼が舞台俳優でもあるからだ。
でも出演するのは下北沢や中野の小劇場。
舞台って出役だけでも10人以上。もちろんキャリアや脚本で役は変わるが彼は常に3〜5番手を務める。
主役級の1、2番手はわりとTVで見たことのある俳優や女優さん。
なぜ、そんな彼が毎回上位の役を務められるのか?
それは彼が毎回前売り券を売るから。
劇団って木曜b〜日曜の夜公演と土日の昼公演。
彼は6公演で平均100枚の前売り券を売る。
ちなみにハンサム(昭和)既婚者ではあるが、色恋営業でもなく彼は一都三県を屋根付きの125っcスクーターで今日は横須賀、明日は大宮と僅か2、3枚の前売り券をお届け販売に行く。
ちなみに近年ベタなチケット販売で「取り置き」があるがアレ元々は小劇場の舞台が元祖のシステム。
※小劇場は座席数制限あるとこもある都合。
でも彼は一都三県を走る。
理由は簡単「取り置き」は仮予約で当日来ないのも自由。
でも集客出来ない舞台俳優は番手が下がる。
逆に言えば「集客出来る俳優は番手が上がる」彼は俳優が好きで続けたいから、全天候対応の125スクーターで一都三県をキツイのに走る。
若くて舞台デビューしたばかりのイケメンは数枚の前売り券を売ることも出来ないのに取り置きリストだけは大人数ってのも
舞台もライブハウスも似てる。
ちなみに愛する娘は多感な中学生だが、父の姿を見て「役者には絶対ならない」というらしい。
--------------------------------
統計ではあるが、小劇場の前売り券と当日券の割合は70:30。
ライブハウスの一般的なインディーズアーティストは5、60%が前売り券。
ちなみにある程度のアーティストは取り置きなんて対応しないし、ファンのいるインディーズアーティストしか出ない都心部のライブハウスは取り置きなんてシステムはない。
逆に言えば「取り置き」が出来るうちはまだまだって現実。
Morganaで「どうすれば集客出来るんですかな?」とか「集客出来るアーティストと対バンさせて」というアーティストは多いが前売り券を売るアーティストはいない。
ちなみに前売り券について聞いてくるアーティストは、大体集客出来る。
華やかなライブステージの下で、努力しているミュージシャンが実は結果を出している。
取り置きって楽だし便利だけど、実はアーティストにとってはメリット以上にデメリットもあると思う。
ただ言えることは「集客出来るようになりたい」や「集客出来るアーティストと対バンさせて」という前に《前売り券を売ってくれ》