
#5 なぜ地元でライブ活動するのか?
これはアーティスト活動初期とキャリア晩年中心の話だがアーティストにとって『ホーム』となる場所の重要性的な話。
キャリア晩年の話はココでは不要と思うが『アーティスト活動初期』の地元(ホーム)での活動はアーティスト活動初期、とくに低集客期には重要な活動拠点だと思う。
まず活動初期ってこれは全アーティスト共通だがファンはいない。
だが、ライブ活動はしないとライブパフォーマンスの向上や自分達のライブにおける空気感、演奏力や人前だと発生する様々な想定外とかは掴めない。
現代はSNSやライブ配信など認知を得る方法はあるので無名の新人アマチュアアーティストが初ライブで50人集客したなんてことも珍しくはないが基本的に普通の学生アマチュアアーティストがこの辺りの戦略を組み集客することはほぼない。
ちなみに高校生バンドが3桁集客ってのもライブハウスアルアル。
でも実はこれって『ファン』集客ではなく『サポーター』集客。
高校の人気者が毎回3桁集客し高校生のコンテストで優勝し、卒業してフリーターバンドマンになるも1年半後にはやっと2桁集客なんてこともよくある(笑)
これは極端な例だが有料入場者にも種類(種別)がある。
趣味で活動するアマチュアアーティストなら「金払って入場してるんだから全員お客さんだろ」で正解。この辺の感覚も実は「音楽をビジネス視点で見えているプロ志向」と「憧れと夢で語るプロ思考」の差。個人的な話だが25年間プロとプロの入口にいる自称ではないインディーズアーティストしか接点のなかった自分的にはココまで意識の差があるとは思わなかった。
というか『ほぼ絶対に交わることのない』異世界。それを唯一変えることが出来るのが集客。
異世界の扉を開けるのはそれしかない。
ただこれを『開ける』ことは、簡単ではないが実は難しいことでもない。
地味にコツコツ努力をすれば誰でも開ける扉である。
詳細はアーティスト単体で異なるので割愛するが活動初期において重要なのは「サポーター」である。
対バンしたアーティストだったり、バイトの先輩だったり、地元友人だったり、恋人や家族。
有料入場してくれる身内、これがサポーター、アーティスト活動の初期を支えるサポーター。ちなみに大相撲ではタニマチ、舞台俳優でもプロレスラー、格闘家でも集客出来る人物は活動を支えるサポーターが存在する。
メジャーだとショーケースで関係者だけを集めてレコードメーカーの施設だったりライブハウスだったりを開催。アマチュアアーティストはホームでパフォーマンスや技術向上をしつつサポーターにライブを見てもらう、そしてその延長上でファンを作っていくのだ。
この期間をどれくらいに設定して活動するのか?
自分自身のマネージメントのキャリアやライブハウススタッフのキャリアで得た感覚だと2〜3年の時間を必要と思う。
ただ集客力がナチュラルであるアーティストだと(メンバー数x5人、アベレージ集客割合として75%をファンとする)半年もせず超えちゃうのもある。
※まぁこのパターンは別の苦しみが出るんだけど。
『集客』のための活動と『アーティストとしてのパフォーマンス&技術向上』の活動は実は似て異なる。これを理解して活動するアマチュアアーティストがどれだけいるのか?
「ライブハウスはアーティストにとってビジネスパートナー」弱いところは見せてはいけないのだ。
唯一見せていいのは「ホーム」だったり「地元」の店舗。これだけが唯一の弱いとこを見せて良いとこなのよ。
だってより良い環境や条件をもらうのに弱いところ見せてたらビジネスとしては下がることはあれど上がることはない。
※これ普通に働く社会人には当然の常識だが世間知らずのアーティストは知らない(笑)
そして音楽業界人は仕事なので社会常識が普通。
毎週東京各地でライブパフォーマンス&技術向上のためにライブ活動をするのも否定はしない。
ただ集客向上をするために戦略的にライブ活動をするのも大事。
だが、一度広げた活動エリアでアベレージ集客を保つのは難しい。
サポーターを含め『ある程度集客のあるアーティスト』として認知されて活動するか『ライブ活動は派手だがいつも集客のないアーティスト』としてまずは悪目立ちするのか?
嫌いは好きに変わるから悪目立ちが絶対悪だとは思わないがアマチュアアーティストの7、8割がずーっと低集客で悩むことを客観視して取り組むアマチュアアーティストが「今日でMorganaの出演は卒業ね」って言われメジャーやメジャー配給インディーズでデビューして行く。
そして晩年にMorganaに戻ってくる。
それが武道館の追加公演だったり、なぜか他とは規模の違うライブハウスツアーの1日だったり。